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古事記伝
三十一
頂髪中は、多芸布佐能那加(たぎふさのなか)と訓べし、書紀に、此お髪中とあるお然訓、又景行巻に、箭蔵頭髻、崇峻巻に、作四天王像置於頂髪などあるおも皆然訓り、多芸は髪お揚たるお雲、布佐は其揚て集めたる髪の繁きお束ねたる処お雲、総又物の多きお総集むるお、布佐奴(ふさぬ)と雲などヽ同言なり、〈万葉に、髪たぐと多くよめり、揚ることなり、又物の多く繁きお布佐と雲、〉されば、頂髪は後に雲本取(もとヾり)のことなり、〈故師ぱ即もとヾりと訓れつれど、其は中古よりの名とこそ聞ゆれ、〉