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半日閑話
十二
明和九年十二月十三日、〈○中略〉近来男子の風甚異にして、髪は本多とて中剃お大くして、髷お高く結ふ、鬢は下鬢(○○○○)とて、油おつけず、櫛の歯お入、毛筋お通し、後の方は油おつけて置、其堺お潮堺と雲、眉は三日月とて細くぬく、衣服は細袖に薄綿にて重て著るに便にす、此頃の諺に雲、疫病本多〓眉宿(かつたひまみへ)なし姿、
女は櫛計さして、釣匙お用ひず、鬢指と雲ものお、鯨骨或は銀にて作りて、 〓の横より通す、髪の毛筋おあらくふくらかにせん為なり、名付て灯籠鬢(○○○)と雲、経木灯籠に似たればなり、