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貞丈雑記
二/人物
一月代の事、玉海〈○中略〉時忠卿の月代そらせし事は冠えぼしなど著るに、逆上の気強きに堪へかねて、月代そられし成るべし、武士の冑下に月代そるに同じ、古たま〳〵月代そる事もあれ共、人に隠してそる事也、結城合戦の絵巻物に、結城七郎氏朝が切腹の体お画きたるに、結城月代そりたる体、額に毛お残して画きたり、結城が月代の体如此画きたり、〈○図略〉今も公家衆月代おそり給ふ事有り、冠えぼし下逆上の気に堪へかねて、ひそかにそり給ふ由、是も額の毛お残して、中お丸くそりて、額の毛お月代にかけて月代おかくす也、