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南留別志の弁
曾我五郎が元服したるところに、髪とりあげ、高帽子きせと有て、月額のさたなし、されば西行法師は、月代の痕といふ事おかきたり、中剃のことにや(○○○○○○○)、
ある人の雲く、月代はひたひおまろくそりて、冠れる帽子のしたに、髪ぎはの見えざるやうに したるなり、今も都の官人はしかせるもあり、いやしき男のそりさげひろうしたるも、月代よ りおこりぬれば、名はかはらず、