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嬉遊笑覧
一下/容儀
額おぬくに様々あり、俳諧嘉多言に、そがうびたひといふ事は、十河(そがわ)殿といふ武家の人の頭つきよりいひ出たる事とぞ、無下に近き世の事なり、〈此書慶安三年の板〉三好に与したる十河氏なるべし、或雲、此説非也、そがうは総髪(さうがう)びたひなりといへり、千前軒文耕堂合作の浄瑠理小栗判官車街道、池庄司が島原に来る処に、ほうろく頭巾取のくれば、そうがう額の総自髪と'いふ事あり、是も十河の説お取らざるにや、されどまづ普通の説に従ふべし、