[p.0544][p.0545]
燕石雑志
五下
風俗或問 或問、男女髪の束ざまの事は、曩にその説お聞り、嘗寛永中の遊女の古画お見るに、髪おつかねず、衣服に摸様お染ず、明暦以後の画像お見れば、髪お束たり、昔は婦人の髪お結事なかりしか、予〈○滝沢解〉答て雲、日本紀天武天皇十一年、夏四月乙酉、詔曰、自今以後、男女悉結髪(かみあげせよ)、十二月三十日以前結訖之、唯結髪之日、亦待勅旨と見え、又和名抄に、仮髪、和名須恵、鬠音活、和名毛度由比と見えたれば、女の髪お結ことはいとふりたり、但近世は遊女のみ髪お結ざりし歟、