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浪花の風
髪の結様は、其時の流行もありて、一定ならずといへども、文政の頃より、大かた今の風俗のよしなり、其さま、たぼお長ぐ垂る様に出して、其上へまげは六かしげに作りたるものにて、多くはまげといふものは、仮ものにして、自髪にはあらず、一体の結様は、殊に六かしき故、中々容易に一人にては結ひ難く、夫故髪お結ふことは、多くとも一け月に三度には過ず、よく保たするものは、十六七日づヽは保たするといふ、