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諢話浄世風呂
二編上/女中湯
朝湯より昼前のありさま
〈巳〉あいさ、みんな摘髱でございました、それがおまへさん、髱挿だの張籠だのと、調法なことになりました、独手に髪が結はれます、あの島田くづし(○○○○○)の形などは、役者の鬘同然さ、頭へ乗せさへすれば、手つかずに髷が出来るいやはや利口な事さね、〈辰〉一頻は、頭の上へ、髷がおつかぶさつて居ましたが、又むかしへ帰つて、些ばかり貰て来たほどの島田になりました、その上に上方風お好このむものも出て参りますし、ほんにほんに移り気なものでございますよねへ、〈巳〉京形だの、京かんざしだのと、何でも珍しい事お好ます、お江戸の人は、お江戸の風が、いつまでも能うございますよ、