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歴世女装考

目刺(めざし)といふ小児の髪 禿(かぶろ)
中昔の風俗に、女の児の三歳より髪お生しおくに、前髪おば眉のすこし上のほどに截そろへてかきたらしおくお、目ざし姿とて、三歳より十歳以上までの額つきなり吉来より髫(せう)の字おめざしと訓せたれど、髫は小見の垂髪の事なり、さればうない〈小児のたれ髪〉の字に髫髪(せうばつ)と書なり、〈新撰字鏡和名抄に見ゆ〉説文に、髦髪垂眉也とあれば、目ざしは髦の字なるべし、