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皇都午睡
三編上
江戸前髪結床は、別に安いと雲は叮嚀なり、首筋耳の穴まで、細き剃刀にて自在に剃るなり、毛剃叮嚀にして渡す、床主又剃刀にて清剃して、すくこと凡四五返にて、垢もふけもなき迄すき、それより油〈上方の〓付也〉お附て又すき、然ふして結ふなれば、上方の存在なる、髪月代とは雲泥の相違なり、あはれ上方もこふありたきものなりかし、