[p.0597]
半日閑話

文化七庚午年四月廿日の朝、下谷小島氏〈富五郎〉家の婢〈小女なり〉朝起て玄関の戸お開んとせしに、頻りに頭童く成様に覚えしが、忽然として髪落たり、分々の髪切れたるは、ねばりけ有に、臭気あるものなれど、左にはあらずと雲、〈去年小日向七軒屋敷間宮氏の婢のきられしは、宵よりしきりにねむけ有てきられしと雲、〉