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塩尻
四十二
一孝徳天皇詔りして、凡死せる者の髪お剃、所々猥に埋む事お禁ぜられしも、末世には知る人なし、
賢按、今の庶人悉く剃髪させる事は、切支丹御吟味已来、浮屠氏の手に渡り、宗旨改の掟より、旦那寺髪剃といふ事始しよし、其以前は百姓共、村はづれの入会の地へ穴お堀、同穴とて一所に葬し事也、猶銘々墓印の石碑等もなし、板仏といふことのあれども、是も上へ建るものにてなし、埋候上へ入て、土中へ埋る事也、