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続古事談
五/諸道
嘉承元年の夏、世中さはがしくて、東西二京にしぬるものおほかりけり、その中に所の御筆ゆひ能定、病つきて七日と雲に死にけり、ひつに入れて黄なる衣覆て、人ばなれたる所にすてつ、四日おへて道ゆく人きヽければ、ひつの中におとしけり、あやしみてみるに、よみがへりたり、水おのませてかれが家につげたりければ、妻子よろこびてつれかへりて、日比へて心地例ざまになりてかたりける、〈○下略〉