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古事記伝
十八
崩は加牟阿賀理麻志奴(かむあがりましぬ)と訓べし、〈○中略〉さて神上(力肱あがり)とは、万葉二〈二十七葉、日並知皇子命薨時長歌〉に、天原(あまのはら)、石門乎閉(いはとおたてヽ)、神上(かむあがり)、上座奴(あがりましぬ)とよみて、天所知(あめしらす)といふも同意なり、凡て人は死れば、尊も卑きも皆悉く、底津根国〈即夜見国なり〉に罷ることなるお、天皇お始奉、凡て尊むべき人おば、其お忌憚て反お雲て、天に上坐とはいひなせる古言なり、