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平家物語

入道せいきよの事
入道相国〈○平清盛〉やまひつき給へる日よりして、ゆ水ものどへ入られず、身の内のあつき事は、火おたくがごとし、〈○中略〉あまりのたえがたさにや、ひえい山より、千手井の水おくみ下し、石の舟にたゝへ、それにおりてひえ給へば、水おびたゝしうわきあがつて、ほどなく湯にぞなりにける、〈○中略〉同じき〈○治承五年閏二月〉四日の日、かんぜつひやくぢして、ついにあつち死〈○あつち死、長門本平家物語作あつさ死、源平盛衰記作周章死、〉にぞし給ひける、