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明徳記

山名陸奥守、子息宮田左馬助、次郎七郎に向て宣けるは、〈○中略〉さればこそ御分達は日本一の不覚仁共にて有ぞよと、隻協はぬ所お見ては打死し、遁るべき所お知ては命お全して、後日に本意お達するおこそ、仁儀の勇士とは申せ、是非おも弁へず、遁るべき所にて犬死おして、敵に利お付る事は、加様の時の為ぞかし、未練なる者共哉、つれて引と叱られて、兄弟は猪熊お南へ落て行、