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徒然草

人の終焉のありさまの、いみじかりし事など、人のかたいお聞に、たゞしづかにしてみだれずといはゞ、心にくかるべきお、おろかなる人は、あやしくことなる相おかたりつけ、いひし、ことばもふるまひも、おのれがこのむかたにほめなすこそ、其人の日ごろの本意にもあらずやとおぼゆれ、此大事は権化の人もさだむべからず、博学の士もはかるべからず、おのれたがふ所なくば、人の見聞にはよるべからず、