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太平記

長崎新左衛門尉意見事附阿新殿事
五月〈○元弘元年〉二十九日暮程に、資朝卿〈○中略〉少も億したる気色もなく、敷皮の上に居直て、辞世の容お書給ふ、
五薀仮成形 四大今帰空 将首当白刃 截断一陣風
年号年月の下に、名字お書付て、筆お閣き給へば、切手後へ回るとぞ見へし、御首は敷皮の上に落て、質は尚坐せるが如し、