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閑際筆記

大僧正天海、年百四十、乃言恬淡緩慢、これ吾延寿の法なりと、余〈○藤井臓〉不信之、寿夭是命なり、恬淡無欲なるは、人と草木と熟か異、草木寿歳お不踰あり、人百歳に至ても且世に処お見、緩緩慢々地過来て、夭なるあり、急々遽々裏々過去て寿あり、或は日々に意お用て、老年に猶健に、或は心中に事寡して、少壮よりも病の多して怯弱なるあり、皆此命なり、