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空穂物語
蔵開上一
うへのおとゞみ給て、御返しかしこまりてうけたまはりぬ、こゝにさぶらふことは、なかたゞのあそむの、又なき事におもひ給て侍めりしかばなん、なにのかずなるべき身には侍らねど、さうやくおも、もろともにと思給へてなん、さま〴〵にとおほせごと侍は、なに事にかは、よはひくらべ(○○○○○○)するかほにや、まいり侍らぬことは、かゝるさとずみにも、うい〳〵しき心ちし侍れば、つゝましくおもひ給へられてなん、いとかしこきおほせごとおぞ、返々聞えさせ侍るときこえ給、〈○下略〉
V 枕草子