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訓幼字義

心 凡三十三則
心といふは、人の思慮運用するところおいふ、もと別義なし、経書に所謂心といふもの皆此通りなり、後世に、心に体用おたて、一念未発の所お心の体とし、思慮運用するところお心の用と雲、宋朝以来の説にて、聖人の意にあらず、聖賢の所謂心は、皆已発に就ておしへおたてられたるものにて、詩書六経以来、一句も未発の心おのたまふことなし、