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宇治拾遺物語
十五
そのかへさ、〈○賀茂祭〉法性寺殿〈○藤原忠通〉紫野にて御覧じけるに、〈○中略〉今一度北へわたれと仰ありければ、また北へわたりぬ、〈○中略〉このたびは兼行さきに南へわたりぬ、次に武正わたらんずらんと、人々まつほどに、武正やゝ久しくみえず、こはいかにとおもふほどに、むかひに引たる幔より東おわたるなりけり、いかに〳〵とまちけるに、幔より冠のこじばかりみえて、南へわだりけるお、人々なおすぢなきものゝ心ぎは(○○○)なりとほめけりとか、