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雲室随筆
画師諸葛監、字子文、清水又四郎なるものは、生質剛悍(○○)なる人にて、古画お集めかお尽して修せしと雲、元来富めるものにてありしが、家産お破りて画お修せりとぞ、然ども剛悍の性故、己お屈する事ならず、人おも容れず、人にも容られざりき、〈○中略〉其画お見るに、一石一水といへども、華人の画せしに法せずといふ事なし、因て其画甚拙にみゆれども、其守る事の固なる、苟も己よりせしは一もなし、然ども其生質、諸侯貴人といへども、己おまげて屈する事なき故、生涯窮困のみ多かりき、