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雲室随筆
旭山沢元凱、字悌侯先生、世名平沢五助、山城国宇治の人なり、古昔宇治菟道と書せり、依て人皆菟道先生と称せり、此人秀才之人なれ共、其質甚短慮(○○)にてありし、文お以世に知られたり、文章は実に抜群と可申、然ども生質右之通之人故、自身に応ずる才子ならざるよりは喜ばず、才なき人おば甚敷悪み、陀罵詈せらるゝ故人親まず、厭悪すいもの多し、予〈○僧雲室〉も常に芥の如く罵詈せられり、然ども風流は実に天下一人と雲べし、事は著述の漫遊文章にて、人の知る所なり、〈○下略〉