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やしなひ草
二篇
拙者生得短気(○○)にて、腹立ときは跡さき見ず怒り罵り、科なき諸道具お投ほうり、杖ぼうお振上たり、拳に息お吹かけたり、燃立ときは火に入るもしらざれ共、そろ〳〵短気しづまれば、其後悔亦甚し、後悔も我、短気もわれ、後悔する短気ならば、発さぬが能といふ人あれば、おれが発し度て発す短気が、生質なれば是非なしと、また短気発る、是にも医者のあるべきや、御考給はるべし、〈○下略〉