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浅瀬のしるべ
短気(○○)はそんき
人はものねんじして、のどやかなるそよき、ことわざしげき世にふれば、にくげなることいひかくる人のありて、めざましう心やましとおもふふしありとも、ひたおもてにあらはさず、見しらぬさまして、心にその人おうとみてたりぬべし、なまはらだちやすく、おもひのまゝにいひもし、なしもしては、すこし心のどまりて、くやしうおもうことぞおほかるべき、ねぢけがましからでも、いときふにのどめたる所なきは、よからぬ人ぞかし、さては人おも身おもそこなひぬべし、またものまなぶ人のふみ見るも、巻の数おほくておもしろからぬお、ねんじつゝよめば、よきことのあると、心みじかく見さしてやみては、いたづらごとゝなりぬべし、