伊勢物語
上
むかしい中わたらひしける人の子共、井のもとにいでゝあそびけるお、おとなに成にければ、男も女もはぢかはして有ければ、男は此女おこそえめと思ふ、女は此男おと思ひつゝ、おやのあわすれども、きかでなん有ける、扠此となりの男のもとよりかくなん、 つゝいづゝいづゝにかけしまろがたけすぎにけらしないもみざるまに、かへし、
くらべこしふりわけ髪もかた過ぬ君ならずしてたれかあぐべき、などいひ〳〵て、ついにほいのごとくあひにけり、
くらべこしふりわけ髪もかた過ぬ君ならずしてたれかあぐべき、などいひ〳〵て、ついにほいのごとくあひにけり、