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続古事談
二/臣節
左大弁経頼と雲人ありけり、五十に及て、蔵人頭になりたりけるお、あながちによろこびければ、教恵座主と雲人、いなめて雲く、かくよろこばるヽこそ、無益の事とおぼゆれと、そしりければ、この人雲やう、これはよく案ぜられぬなり、天下の人いくそばくぞ、公卿廿余人は論ぜず、其外たま〳〵貫首になれり、これおほきなるよろこびにあらずや、教恵の雲やう、これは大乗の観なり、とかく申すにおよばずとなむ、