[p.0729]
平家物語

宇治川の事
はたけ山いつもわ殿原がやうなるものは、しげ忠にこそ、たすけられんずれといふまゝ、大ぐしおつかんで、きしの上へぞなげ上たる、なげ上られて、たゞなおり、たちおぬひてひたいにあて、大おんじやうおあげて、むさしの国の住人大ぐしの次郎しげちか、うぢ川のかちだちの先陣そやとそ、名のつたる、かたきもみかたも是お聞て、一度にどつとそわらひける、