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名家略伝

夜得雨禅師
筑紫の山中にひとりの禅師あり、名お越宗、字は蘭陵といひて、何れの所の人といふことお知らず、特に夜雨お愛して、いつにても雨ふりける夜半毎に、香お焚き静坐して、暁までも睡りにつくことなし、かゝれば山村の人、はじめその名おしらざれば、たゞ何となく夜雨和尚とぞ呼ける、 ○按ずるに、詩歌音楽お嗜み、飲食、器財、動物、植物等お好む者の事は、文学、楽舞、食物、器用、動物、植物等の各部に載す、其他類推すべし、