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常山紀談
十八
東照宮御指の中節たことなり、年老させ給ひては、屈伸しがたくおはす、是はわかき御時より数度の戦ひに、初の程は麾にて下知せさせ給へども、事急なるに及ては、かゝれかゝれとて、御拳にて鞍の前輪おたゝかせ給ふに、血流れて出る、かくのごとき事、幾度ともなき故となり、