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百家琦行伝

峻山和尚
峻山は阿州三好郡、農夫来代禎左衛門といへる者の子なり、幼稚ときより出家して、〈○中略〉徳島勢見に住す、〈寺号今忘たり〉后隠居して同国南方日和佐薬王寺に閑居す、博識にして詩およくし、最能筆なり、別号閑々子、また換水和尚とも雲り、常に手水鉢、泉水などの水お換ることお好み、遊人来る毎に手つだはせて水おかふる事なり、今換し水お外人来れば亦換さする、敢て潔癖といふにはあらず、唯汲おきの水おきらふと見たり、されば一紙書お需る者は、一瓶の水お汲べしと書て、門にはり置けり、〈○下略〉