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壒囊抄

常に五夢と雲は何々ぞ
是未〓かの説お不見侍、若熱気多き者は見火お、冷気多者は見水お、風気多き者は飛墜、多食の者は、飲食の不足お見る、見聞多き者は、熱(うん)境になんと雲、是等にや、隻是も五蔵の掌とる所歟、其の神と、心霊と相感ずる時、其夢有と雲へり、但し金剛経には、一切有為法、如夢幻泡影と説きて、仮事あだなる喩へにこれ侍れ共、四果の聖者、乃至辟支仏までも、夢はあるなれば、まして薄地の凡夫、争でか夢無らん、心霊の感ずる所ならば、などか相事もなからざらん、文句雲く、夢者、従須陀洹至支仏、悉く有夢、唯仏のみ不夢、無疑無習気故に不夢、従五事故に有夢、以疑心分別覚習、因理事非人来相語、因此五事夢みると雲雲、