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保元物語

新院被召為義事附鵜丸事
六条判官為義、〈○中略〉余に白河殿より度々被召ければ、可参由申ながら未参、依季長卿、六条堀河家に行向て、院宣の趣お宣ければ、忽に変改して申けるは、〈○中略〉都て今度の大将軍痛存する子細多く侍り、聊宿願の事有て、八幡に参籠仕て候にさとし侍き、又過る夜の夢に重代相伝仕て候、月数、日数、源太が産衣、八竜、沢瀉、薄金、楯無、膝丸と申て、八領の鎧候が、辻風に吹れて、四方へ散と見て侍る間、傍憚存候、枉て今度の大将おば余人に被仰付候へとぞ被申ける、