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古今著聞集
三/政道忠臣
治承四年六月二日、福原の都かへり有けるに、同十三日、帥の大納言隆季卿、新都にて夢に見侍りけるは、大なる屋のすきたるうちに、我いたるひさしのかたに女房あり、ついがきのとに、頻になくこえ有、あやしみて問に、女房のいふやう、これこそみやこうつりよ、太神宮のうけさせ給はぬ事にて候ぞといひけり、すなはち驚ぬ、又ねたりける夢に同じやうに見てけり、おそれおのゝきて、次日の朝、院に参じて、前大納言邦綱、別当時忠卿などにかたりてけり、