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大鏡
二/左大臣時平
先坊〈○保明親王〉にみやす所まいり給ふ事、〈○中略〉後はしげあきらの式部卿のきたのかたにて、斎宮の女御の御はらにて、そもうせ給ひにき、いとやさしくおはせし、先坊お恋かなしみ給ふ、大輔なん夢に見奉ると聞て、送り給へる、 ときのまもなぐさめつらむ君はさは夢にだに見ぬわれぞかなしき、御返事大輔、
恋しさはなぐさむべくもあらざりきゆめのうちにも夢と見しかば