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閑窻自語
呪厭凶夢丑未札事
いま春日の御やしろ、廻廊みづがきのあたりに、丑ひつじと紙にかきて、多くおせり、これは奈良の人、夢見の心にさはるとき、かきておせば、わざはひおまぬかるゝまじなひと、いひつたへてする事なり、御験記などにもこのまじなひのふだお、絵にうつしてはべれば、ふるき事なるべし、此事春日社にはかぎるべからず、御門かたにても、凶夢とおもはん時、このふだおちかきあたりの社にも押すべきなりと、人にもおしへ侍りしなり、