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東海道中膝栗毛
七編
〈わうらいの人○京都〉こりやじやうもんがいくそふじや、おひ(水)もて出やしやんかいな、〈じやうもんがいくとは、火事があるそうなと、いふことなり、〉 〈わうらい〉どこにじやうもんがいくぞいな あれあこへはしごもていくわいな、あほよ〳〵、 〈弥〉何ぬかしやあがる 〈わうらい〉ふぬけなわろじやはヽヽヽ 〈弥次〉いやこのべらさくめら〈とはしごおあたまへのせたなりに、くつとふりかへれば、そのはしごあとさきにて、わうらいのあたまおこつつり、〉 〈わうらい〉あいたあいた何じやいどめつそふな、此人中でながいもの、横たはしにしくさつて、えらいあんだ(馬鹿)らじやな、のうてんとやいてこませやい、〈弥次〉なにたはことぬかしやあがる〈○下略〉