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枕草子

大かたさしむかひてもなめきは、などかくいふらんとかたはらいたし、ましてよき人などおさ申ものはさるはおこにていとにくし、おとこしうなどわろくいふいとわろし、我つかふものなど、おはする、の給ふなどいひたるいとにくし、こゝもとに侍るといふもじおあらせばやと、きくことこそおほかめれ、あいぎやうなくとことばしなめきなどいへば、いはるゝ人もきく人もわらふ、かくおぼゆればにや、あまりてうろうするなどいはるゝまで、ある人もわろきなるべし、殿上人宰相などお、たゞなのる名おいさゝかつゝましげならずいふは、いとかたはなるお、げによくさいはず、女房のつぼねなる人おさへ、あのおもと、きみなどいへば、めづらかにうれしとおもひてほむることぞいみじき、殿上人きんだちお、御まへよりほかにてはつかさおいふ、又御前にて物おいふとも、きこしめさんには、などてかは丸がなどいはん、さいはざらんにくし、かくいはんぞわろかるべき事かは、