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枕草子

こきでんとは、閑院の太政大臣の女御とぞきこゆる、其御かたに、うちふしといふもののむすめ左京といひてざぶらひけるお、源中将〈○宣方〉かたらひて、おもふなど人々わらふ比、宮のしきにおはしまいしにまいりて、時々は御とのいなどつかふまつるべかれど、さるべきさまに、女房などもてなし給はねば、いと宮づかへおろかにさぶらふ、とのい所おだに、給はりたらんは、いみじふまめにさぶらひなんなど、いひい給ひつれば、人々げになどいふほどに、まことに人はうちふしやすむ所の、あるこそよけれ、さるあたりには、しげくまいりたまふなる物おと、さしいらへたりとて〈○清少納言、中略、〉いみじうまめだちてうらみ給ふ、