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太平記

足利殿御上洛事
其後舎弟兵部大輔〈○足利直義〉殿お被呼進て、此事可有如何と意見お被訪に、且く思案して、被申けるは、今此一大事お思食立事、全く御身の為に非ず、隻天に代て無道お誅し、君の御為に不義お退んと也、其上誓言は神も不受(○○○○○○○)とこそ申習はして候へ、設ひ偽て起請の詞被載候共、仏仏などか忠烈の志お守らせ給はで候べき、