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室町殿日記

義昭公南都お落給ふ事
一去程に、長慶入道計略おめぐらしけるは、他家おむかひに参らせたる分にては、推すかし給ひて、出給ふまじ、所詮の人おもつて、よびのぼせたてまつらんとおもひて、上野民部少輔と、長岡兵部大輔藤孝両人お尋出して申けるは、数年の遺恨によつて、公方おほろぼし奉る、今ははや義昭公一人残らせ給ふ、此人お助置奉りなば、まことに仏お造りてまなこお入ざる(○○○○○○○○○○○○○○○○)と雲がごとし、〈○下略〉