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平家物語

那都羅の事
同じき二十日の日、都には法皇の宣命にて、四の宮閑院殿にて位に即かせ給ふ、摂政は元の摂政、近衛殿変らせ給はず、頭や蔵人になしおいて、人々皆退出せられたり、三の宮の御乳母、泣き悲み後悔すれどもかひぞなき、天に二つの日なし、国に二人の王なし(○○○○○○○○)とは申せども、平家の惡行に依りてこそ、京田舎に二人の王はまし〳〵けれ、〈○下略〉