[p.0897]
諺草
七/毛
諺 もとの木阿弥(○○○○○○) 筒井陽俊坊順昭〈大和国郡山城主、信長と同時の人、〉二十八歳にて病死す、此時其子伊賀守定次〈後号順慶〉わづかに一歳也、順昭遺言して、三年の間は、卒去おかくし置べしとありければ、木阿弥と雲盲人、其形順昭に似たる故、他国より使者来る時は、かの盲人おほのぐらき所におき、順昭は病中の体にもてなし、相見せしむ、定次三歳の時、始て喪お発す、〈○註略〉こゝに至て、木阿弥なりし事お諸人しれり、今俗の諺に、もとの木阿弥と雲事、是よりおこれり、〈新考、〉