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北条五代記

岡山弥五郎木下源蔵討死の事
その上軍は勝て負る(○○○○)事あり、負て勝(○○○)事あり、木下源蔵敵の首お取といへ共、却ておのが首お敵にとられぬ、是進退おわきまへず、不義の働ゆへ、勝て負るとは是也、〈○中略〉扠又千葉勘兵衛此中日々のせりあひに、弥五郎源蔵があとに有て、見えがくれ成しが、今日に至て、双方の軍旗お見定、兵気おはかつて諸人に抽て、敵お討取、是おこそ懸引の上手の武士、負て勝とはいふべけれ、