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平家物語

福原おちの事
平家はふく原のきうりに著て、大臣殿しかるべき侍、老少数百人召ての給ひけるは、しやく善のよけい家につきせず、せき惡のよわう身におよぶが故に、神明にもはなたれ奉り、君にもすてられまいらせて、帝都お出て旅泊にたゞよふ上は、何の頼か有べきなれども、一じゆのかげにやど(○○○○○○○○○)るも(○○)、先世のちぎりあさからず(○○○○○○○○○○○)、同じながれおむすぶも(○○○○○○○○○○)、他生のえん猶ふかし(○○○○○○○○○)、〈○下略〉