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平家物語

さねもりさいごの事
今度北国へまかり下り候はゞ、定而討死仕り候ふべし、実盛もとは、越前の国の者にて候しが、近年御れうに付られて、むさしの国長井に居住仕り候き、事のたとへの候ぞかし、故郷へは錦お著て帰る(○○○○○○○○○○)と申事の候へば、何かくるしく候べき、錦の直垂お御免候へかしと申ければ、〈○下略〉