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嬉遊笑覧
三/詩歌
諺に連歌師が露字お質に置(○○○○○○○○○○)といふは、何よりいひ出たることか、世の人心〈五〉昔日立花の家より、鳶尾(しやか)の前置お金子百両の質に入れ、連歌の花の下より、露といふ字お黄金二拾枚に置れける、質にあるうちは、花さしに鳶尾おつかはせず、連歌師に露といふことおいださせぬは、此約束お迷惑して請られけるといへり、おもふに作者の滑稽なるべし、さりながら立花連歌はやりたれば、かゝる説も有なり、温故集にむかし露といふ字お質に置たまへるとは、連歌師の風流なり、しら露の手形もとりて今朝の秋、〈蓮谷〉今これらの趣向に倣ひたる事にや、