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北条五代記

岡山弥五郎木下源蔵討死の事
かるが故に、武士は先もつて文おまなび、武略おたしなんで、忠お尽し名お万天の雲井にあげ、面目おしそんにほどこさんとす、今のわかき衆は文武の学びはかつてなく、人より先だてば武威おあらはし、くびおも取と心えて、両人が如きの犬死し、却て敵に徳おゆづり、みかたにおくれおとらせ、忠はなくして不忠おかせぎ、人間一大事の命、徒に失ひぬ、縦ば出るくいのうたるゝ(○○○○○○○○○)と俗にいふごとし、牛馬おつなぐ杭に徳あり、徳なくして出る杭いかかでうたれざらん〈○下略〉