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後奈良院御撰何曾
三輪のやまもりくる月はかげもなし すぎまくら
あかしの浦には月すまず はりまくら
滝のひゞきに夢ぞおどろく あいさめ
ゆきは下よりとけて水のうへそふ 弓
春は花夏は卯のはな秋楓冬は氷のしたくゞる水 しきがは
おとゝひもきのふもけふもこもりいて月おも日おもおがまざりけり 御神楽
おもふ事いはでたゞにややみぬべき我にひとしき人しなければ おしき
ろはにほへと 岩なし
ろはにほへと さきおれかんな
いろはならへ かんなかけ
いちご岩なし ちご
さい とのいもの
やぶれ蚊帳 かいる
みづ ゆでなし
まへなは目あき、うしろなは目くら、 みゝずちりはなし はいたか
田 もみぢ
いもじ かながしら
御おんばくだい ふちだか
七日にまはりて、人さすむし、 尺八
うみなかのかへる つた
母には二たびあいたれども、父には一度もあはず、 くちびる
三位の中将は、何ゆへうたれ給ふぞ、 なら火鉢
四季のさきに鬼あり 花あふぎ
花の山ははなの木、はゝその森ははゝその木、 山もり
梅の木お水にたてかへよ 海
鷹心ありて鳥おとる 応
嵐は山お去て、軒のへんにあり、 風車
竹生嶋には山鳥もなし 笙
道風がみちのく紙に山といふ字おかく 嵐
みやつかひかひこそなけれ身お捨てしはさかさまに引は何ぞも 八はし
情有人の娘に心かけゆふぐれことにこひそわづらふ 姫小松
もろこしにたのむ社のあればこそまいらぬまでも身おばきよむれ 唐紙せうじ〈○中略〉
永正十三年正月